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シチズンマシナリー株式会社

有志で結成されたSDGs推進チーム。設立2年で社内外から評価され、企業価値向上に貢献。

2024年3月21日

北佐久郡御代田町で、工作機械(CNC旋盤)の開発・製造・販売を行うシチズンマシナリー株式会社。2022年より部署横断型のプロジェクトチーム「SDGs推進チーム」を結成し、様々な取組を展開しています。中でも、直接的に自社事業と関わらないものの、シチズングループが掲げる「マテリアリティ(重要課題)」解決に向けて活動する「分科会B」は幅広い取組を展開。その取組は社内外から評価され「信州SDGsアワード2023」も受賞しました。

SDGs推進チーム分科会Bにてリーダーを務める五十嵐綾(いがらし あや)さん、次世代育成グループの中島玉絵(なかじま たまえ)さん、環境グループの伊藤政喜(いとう まさき)さん、地域貢献グループの堀田和宏(ほった かずひろ)さん、働きがい向上グループの佐々木大介(ささき だいすけ)さん、古家徹郎(ふるいえ てつろう)さん、に具体的な取組やその背景についてお話を伺いました。*以下敬称略。

部署横断的にSDGsにつながる取組を推進するため「SDGs推進チーム」を設立

まずは、SDGs推進チーム発足の背景について教えていただけますか?

五十嵐:発足の目的は、シチズングループが掲げる企業が取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の解決を目指すことです。マテリアリティは大きく5つに分かれており、それぞれ「気候変動への対応と循環型社会への貢献」「質の高い生活への貢献」「産業分野におけるソリューションの提供」「働きがいの向上と人財の育成」「社会的責任の遂行」です。
このマテリアリティを多角的な視点で取り組むため、部署横断型の組織として設立したのがSDGs推進チームです。

特長的な点は、取組を大きく2つ分科会AとBに分けていることです。分科会Aは中期経営計画とともに事業に則したサステナビリティの推進が役割で、環境配慮型の製品・技術の開発等に取り組んでいます。一方分科会Bは、事業への直接的な関わりの有無に関わらず、SDGsに寄与する重要な取組を行っており、その活動は近隣地域への貢献、絶滅危惧種の保護等多岐に渡ります。

チームミーティングの様子

幅広い取組を行い、活動内容を社内外へ発信

それでは、現在の取組について具体的に教えてください。

伊藤:環境に関する取組としては、事業所敷地内の生物多様性保全活動を実施しています。具体的には、専門家による生物調査、絶滅危惧種の捕獲防止対策や保全区域の整備等を行っており、自然共生サイトにも認定されました。また、協力者を増やすべく社内への啓蒙活動も積極的に実施し、横のつながりを増やすことにも力を入れています。

生物多様性の保全活動の様子

堀田:地域貢献に関する取組としては、全国農業協同組合連合会(JA全農)が運営する産地直送通販サイト「JAタウン」とのコラボにより、事業所地域の特産を紹介するキャンペーンを企画・運営しています。全国農業協同組合連合会様の「国生国産を推奨したい」という思いと、我々の「社内外にシチズンマシナリーやSDGsにつながる取組について知ってもらいたい」という思いがマッチし、実現に至った取組です。

佐々木:働きがい向上に関する取組としては、社員の健康とコミュニケーション強化を目的としたチーム対抗のウォーキングイベントの開催や、長野県SDGs推進企業登録制度への登録、埼玉県SDGs推進企業認定取得を実施しています。さらに、自社だけでは気付けない視点を補うため、「働きがいのある会社」として有名な本社近隣企業との意見交換も行いました。

中島:次世代育成に関する取組としては、将来を担う子どもたちの教育支援を目的にあらゆる世代の子どもたちに向けた活動をしています。具体的には、幼児・児童向け職業体験が無料で楽しめるスマホアプリ「ごっこランド」への出店や、全国の中学生に向けた職業体験学習のほか、地元の高校への機械の寄贈や指導など工作機械そのものやその重要性についても知っていただく機会を提供しています。

近隣小学校にて健康支援

五十嵐:ご紹介したのはほんの一部ではありますが、こうした取組を社内外へ発信し、サステナブル文化の醸成と啓蒙を図っています。社内へは社員専用のポータルサイトや毎月発行される社内報などを介して情報共有し、社外には、FM軽井沢にて担当している5分のラジオ番組で情報発信を行っています。

ラジオ収録の様子

取組を通して企業価値が向上、プロジェクトメンバーの成長にもつながる

ここまでの取組を通して、何か手応えを感じていることがあれば教えてください。

五十嵐:まだSDGs推進チームが結成されてから2年であり、社外への発信を始めたのも最近ですので、結果が出るのはこれからだと思います。その中でも、企業価値向上には好影響があったと、シチズングループとしても評価されています。

初めての取組であり、成果が出るのか、どう出すのか分からないところからのスタートでしたが、昨年は社内でも取組が評価され、社内表彰も受けました。おかげで、SDGs推進チームの社内への影響力も高まっていますので、これからさらに取組を加速させたいと思っています。

みなさん本業もある中、なぜここまで主体的に取り組めているのでしょうか。

五十嵐:それぞれに解決したい課題があることや通常業務では味わえない部門横断型の意見交換が魅力の1つです。加えて、取組がきちんと評価されていることが大きいのではないでしょうか。社内はもちろん、社外から評価いただくケースも増えており「信州SDGsアワード2023」を受賞するといった実績も増えています。社内外から評価されることがメンバーの自信につながり、活動に対するモチベーションも高まっています。

堀田:個人的には、今集まっているメンバーが同じ方向を向いて、建設的な議論ができていることも、取組の推進力になっていると思います。

一見すると、幅広い取組を進めており、向いている方向がバラバラだと思われるかもしれません。ただ、シチズングループのマテリアリティへの貢献やSDGs文化の醸成と啓蒙といった目的は共通しており、生産性の高い議論ができています。メンバーそれぞれがただやりたいことを追求しているわけではなく「会社のために」「社会のために」という意識があるからこそ、方向性が大きくずれることはないと思います。

五十嵐:同感です。分科会Bの結成当初は、私も含めそれぞれのメンバーが自分の目標をどうやって達成させるかと考える傾向がありました。ですが、活動を続けるうちに、取組の意義を企業、地域、社会など多角的な視点で考えられるようになりました。その結果、メンバーそれぞれの「この取組はやるべきかどうか」の判断基準に変化があったと感じます。社外の方々とのコミュニケーションでもそのような視座の高まりを感じることは多く、SDGsにつながる取組を通してチームの成長が実現していると思います。

社員の自己実現が、会社にも社会にも好影響を与える

では最後に、今後の展望について教えてください。

五十嵐:活動の持続可能性を高めるための体制づくりに力を入れたいと考えています。2030年にSDGsが節目を迎えても、社会的に見たサステナビリティの重要性は変わりません。我々がいつまでも活動を続けられるために、その体制の強化と社内外への啓蒙活動に引き続き力を入れたいです。

佐々木:働きがいの向上に関しては、物理的に距離のある各拠点のメンバー同士がコミュニケーションを取れる機会提供に力を入れたいと思っています。オンラインでのイベント開催といったやり方を取り入れ、拠点間の壁のようなものを取り払い、会社全体がさらに風通しよく、 アットホームな雰囲気になれるよう尽力したいです。

古家:同感です。合わせて、社員それぞれが自社を誇りに思えるための取組も続けていければと思っています。私が、働きがいの向上に関する取組に携わり始めたのは、社員がさらに会社のことが好きになれるようにしたいという思いからでした。そのような思いを実現させるためにも、これからさらに取組を加速させることができればと思っています。

堀田:地域貢献に関しては引き続き、今取り組んでいる農業への支援を続けたいと考えています。地産地消やサステナブルといった考え方は今後ますます世の中で求められるようになるはずです。活動を続けることで、地域のためになることはもちろん、最終的にはシチズンマシナリーの技術を活かした取組にも力を入れたいです。その結果、取組自体の持続性も高められると思っています。

中島:私も、持続可能性を高めることは最優先だと考えています。そのためには、我々の活動について共感する仲間を増やすことが重要だと思っており、社内向けのイベントを継続的に企画していくつもりです。具体的には、毎年9月を「SDGs月間」とし、社員食堂で大豆ミートを使用した食事を提供したり、近隣お菓子メーカーとコラボして、フードロスに寄与するイベントなどを開催しているので、コツコツと継続し、社員が自然とSDGsに触れる機会をつくることができればと思っています。

伊藤:環境に関しても引き続き、今続けている保護活動を継続する予定です。アピールにも力を入れ、シチズンマシナリーが「環境に配慮した企業だ」とお客さまからご支持いただけるようになればと考えています。自社のスタンスをしっかりと表明することが、取組の価値や競争力を高めることにもつながると考えています。

五十嵐:全体を通して、個人的にはSDGsにつながる取組が社員にとって、本業とは違うかたちでの自己実現の機会になればいいなと考えています。

「自分の思いがかたちになると、会社のためにも社会のためにもなる」という経験をしてもらうことで、よりよい会社づくり、社会づくりにつながると思うのです。自分の行動で会社も社会もよくできるような機会づくりをSDGs推進チームが担えればと思っています。

シチズンマシナリー株式会社
昭和5年、長野県北佐久郡御代田町にて創立。以来、工作機械の製造・販売を営み、シチズングループとしては、時計と並ぶ主力事業の一つである。長野県には御代田本社の他に、佐久事業所、諏訪営業所があり、約480人が県内で勤務する。他にも国内外に多数の拠点があり、工作機械自動盤の領域では、世界シェアナンバーワンを誇る。

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