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根羽村森林組合

“究極の”再生可能資源を活かしながら、環境・社会・経済の課題解決を目指す

2022年2月18日

どんなことをしている団体ですか

根羽村は長野県の最南端にあり、矢作川の源流域に位置しています。村の総面積のうち92%を森林が占め、豊かな森林資源に恵まれた山村です。
最近のニュースでも知られているように、安定供給や運搬時のCO2排出などの課題が取り挙げられている海外からの木材輸入に対して、人材不足などで厳しい状況にあるものの、国内の林業の価値が改めて見直されはじめています。そんな中、根羽村森林組合は ①伐採→②ロスを出さない“オーダーメイド”の部材加工→③工務店への納品をワンストップで行っている数少ない森林組合です。地元根羽村の森林資源を活かした基幹産業の担い手として持続可能な村づくりと活性化に貢献しています。
林業においては、伐採するだけでは持続可能とは言えません。伐採後に「植える→育てる→使う」というサイクルが持続するように計画的に作業を行うことで、持続的に利用できる「究極の再生可能な資源」となります。森林をうまく活用することでSDGsが提示する様々な課題の解決に貢献できると思っています。

長野県SDGs推進企業に登録したのは、森林組合の取り組み姿勢が伝わると考えたからです。林業に携わっていると、普段からあたりまえのように“持続可能な未来の為にできること”を考えています。適切に森林管理をしている団体として、持続可能な森林管理の認証取得(SGECのFM認証、CoC認証など)を自発的にしてきましたが、今後は同じ方向を向いている登録企業との連携を模索しつつ、相互に新たな展開が見いだせたら、と思っています。

伐採作業の様子

取り組まれている特徴的な事業について教えてください

部材のロスを削減しようとする本業での配慮はもちろん、他の森林組合にはない特徴的な取組として、森林や木の付加価値を追求して広く啓発する事業を行っており、山が好きで、森林を熟知し、技術・技能をもつ私達から、次代を担う小・中学生に林業の魅力・可能性をお伝えし、体験をしてもらっています。

木育活動の様子

具体的には、小川や滝の近くにウッドデッキやウッドサウナを設置したり、適した場所があればマウンテンバイクのコースをつくったり、ツリークライミングを実施しています。私達はこれを「山のゾーニング」と呼び、技術や技能によって森林に新たな付加価値をつくりだしています。そして、森林に関わる新しいパートナーの創出や森林管理の後継者育成を目指しています。また、山には適切な管理をする事によって洪水などの災害を防ぐ水源涵養機能というものがあります。根羽村は矢作川の水源にある村として、下流域の人々の生活の安全につながっていることを伝えています。下流域に位置する愛知県安城市とは特につながりが深く、農家民泊などのほか、木のブランコや餅つき機などの木製品を紹介するなどして上下流域の連携により、根羽村の森林の大切さを伝える木育活動や環境教育を年間50回ほど行っています。
「山のゾーニング」は、森を守ると同時に、課題である後継者の育成と、持続可能な村づくり、流域に住む人々の安全な暮らしにつながるのです。

根羽杉を活用した役所

その他の取組に「J-クレジット」の販売があります。これは国の制度で、CO2を1トン1万6500円でクレジットとして販売しています。県が先鞭を切ってくれた取組で、その効果を感じ始めました。国からのアドバイスも受けながら取り組んでいますが、カーボンニュートラルに向けて気候変動対策を進められている県外企業からの問い合わせも増えてきました。SDGsの取組がビジネスチャンスにつながっていると感じています。

今後はどのような展開を考えていますか

充実した森林資源があるので、計画的に間伐して使い、再生していくことです。これまでも従来の林業に加え、大学や企業との連携で「動く木のおもちゃ」、「可動式ポータブル机・椅子」、サステナブル素材「木糸」の開発など、資源の付加価値向上に努めてきました。発想・素材・技術の連携で、これまでにない森林づくりと森林資源を活用し、環境はもちろん、経済的にも持続可能な林業を全国に発信していきたいと考えています。
また、これまでは間伐時に出る枝葉がゴミとなり課題でした。しかし、今年度中には移動式の木材破砕機を導入する予定で、今後はチップ化して木質バイオマスの販売をしていく予定です。資源の再利用で、さらなる循環型林業を目指します。

木糸を活用したファブリックブランド「KINOF」
根羽村森林組合
根羽村森林組合
担当╱参事 今村 豊さん

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